中米旅行記/エルサルバドルのアニメオタク



〜オタク訪問〜

僕はメタパンのネットカフェにいた。ここでエルサルバドルの友達、マルビンと連絡を取り、会うことになっていた。彼が事前に教えてくれた電話番号は間違えていたため、もう一度ネットで連絡を取らなければいけないことは若干嫌だったが、偶然にもすぐにスカイプで連絡が取れたため、特に問題はなかった。

中央公園の近くにあるネットカフェの名前を教えると、彼はすぐに行くと答えた。僕はそのままネットカフェで待っていた。

すると若い二人の女性がやってきた。僕は少しだけ若い女性との交流に疲れていたため、「またか。」という気持ちになった。話を聞くとどうやら彼女らはマルビンの友達で彼と一緒に僕を待ってくれていたようだった。マルビンも一緒にやってきたが、すぐに帰って行った。

ラファエラとソフィアという若い姉妹は、日本と日本人が大好きだった。僕が来るのを本当に楽しみにしていたようで逆に気を使った。僕を見て日本人のイメージが崩れるのではないかと心配したが、それはそれでいい気がした。良くも悪くも日本人のイメージを壊したかった。

彼女らは僕を家に泊めてくれることになった。意図していない形でまた女性の家に泊まることに若干戸惑ったけれど、それはそれで楽しもうと思った。いつの間に「またか」という面倒くささは消えていた。

お父さんとお母さんに挨拶して、家に泊まらせてもらうということを告げた。メキシコで友達と会ったときにすべて無料で泊まっていたことに申し訳なさを感じていた僕は、お母さんに20ドルを支払った。20ドルが現地物価で換算してどのくらいの価値になるのかはわからないが、自分の中では少ないことを感じていた。でも旅を続けていく上でお金がないという事情には勝てなかった。

お母さんは「ここをあなたの家だと思ってゆっくりすごしなさい」と言ってくれ、ご飯を作ってくれた。僕はこういう素朴な優しさにいつも感動させられる。ありがとうございますと言い、気持ちを込めて頭を下げた。

ご飯を食べながら4人で談笑していた。お父さんは目が見えなくなっているため、普通の生活はできないようだった。

話をしていると、この姉妹がなぜこんなにも日本が好きなのかが分かった。彼女ら、特に妹のラファエラは所謂秋葉原系アニメオタクだった。彼女は自分で漫画を書いており、その漫画は完全にオタク向けの少女マンガだった。

僕はジブリ・ドラゴンボール・スラムダンクというような自分が子供頃にテレビでやっていたアニメは知っているが、秋葉原を中心とするアニメ、オタク系は全く知らなかった。彼女はエルサルバドルでは日本の漫画・アニメが人気があり、そのために日本語を勉強している人が沢山いる、英語は仕事をするうえで学ばなければいけないが日本語は趣味で学んでいるということを教えてくれた。

彼女らはアニメを見ていることで様々な日本語の単語やフレーズを知っていた。秋葉系のアニメのフレーズからの引用なので僕からすると若干気持ち悪い感じがしたが、色んな意味で聞いてて楽しかった。僕は日本における秋葉系の位置づけを彼女らに説明し、外国人からの視点と日本人からの視点でアニメは全く違うものになるというようなことを教えた。彼女らは目を輝かせながら僕の話を聞いてくれたので僕は嬉しくなり、他にも様々な日本語・日本の文化を教えた。

ほとんどの日本人が名前も聞いたようなことがないエルサルバドルという国でこんなにも日本の漫画・アニメが浸透していることに不思議さを感じ、驚いた。なんとなく日本の漫画・アニメが世界中で見られているということは知っていたが、それを実感したのは初めてだった。

・・・・麻生太郎が4年前に言っていたことは本当だった。
「日本のコンテンツは世界に広がっている。日本は世界に誇るべきものを沢山持っている。
日本人はもっと自国の文化を世界に誇っていいのではないだろうか?」

日本と日本人はこんなにも世界の人から好かれている。僕はそのことがうれしくてうれしくてたまらなかった。

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