ウクライナでカウチサーフィン





~ウクライナ美人~

ユリアと待ち合わせをするために、僕はエグンパブという所にいた。ここでエスプレッソを頼んで彼女を待っていた。

パブはいい雰囲気だった。アイリッシュパブのようなヨーロッパっぽい建物の中で僕は一人エスプレッソを飲んだ。ロシア語なのかウクライナ語なのかわからないおじさんが陽気に話しかけてきた。僕はおじさんが何を言っているか一切わからず、日本人特有の笑顔でただうなずいていた。とりあえずおじさんは握手をしてきて、そのまま帰っていった。どうやら酔っ払っているようだった。

・・30分ほど待っていたが彼女は来なかった。僕は近くにあるギリシャ教会を見てから宿に帰り、カウチサーフィンで「宿にいるから来れたら来てください」というメッセージと宿の住所を送った。

宿でゆっくりしていると突然若い女の子があらわれた。僕はハグをして挨拶をし、彼女は「家の事情で来るのが遅れた。ごめん」と言った。

このときはもう夕方になっていてどこかにいくことはできなかったため、僕は彼女と一緒に街をぶらぶらと歩き回り、世間話をしていた。彼女は17歳の大学生で僕より一回り若かった。ウクライナでは17歳から大学に入学するのだと彼女は教えてくれた。

話は静かに盛り上がり、彼女は「明日も学校は休みだから一緒に近くにあるお城にいこう」と言った。

翌日、彼女が待ち合わせ時間に宿に来てくれたとき、パソコンがなぜか突然壊れOSを再インストールする作業に追われたため、今度は彼女を待たせてしまった。

夕方になってしまっていたが、僕は彼女と一緒にバスに乗り、20分ほどで田園風景が広がる田舎の村にたどり着いた。

村の一本しかない道路からお城のある山道を歩いた。彼女は近道があると教えてくれ、僕らは一緒に登った。途中に見えた川は綺麗だったが、山道は険しく僕はハァハァ言いながら登っていった。

ウージュホロド

15分ほどでお城に着いた。14世紀ごろのものだと彼女は教えてくれた。お城は滅びていて遺跡のような状態になっていた。

ウージュホロド

眺めのいい景色を見ながら、僕らは他愛もない会話をし笑いあっていた。彼女との会話はそんなにテンションがあがるわけではなかったが、彼女はいつもにこやかで、感じがよかった。僕は日本のバレンタインについて説明しチョコレートをくれと冗談で言うと、彼女は笑いながら「いいよ」と言った。

僕はほかの友達とも約束があったため、またバスでウージュホロドに戻り、待ち合わせ場所のシナゴーグまで行った。ユリアも一緒にどう?と誘ったが彼女は家が遠いため帰るといった。

最後に彼女は僕が冗談で言ったチョコレートをくれ、一緒に写真をとってハグをした。3時間くらいしか一緒にいなかったにもかかわらず、僕は彼女を大好きになった。もう、人生で二度と会わないかもしれないけれど、こういう出会いの一つ一つは本当に大切なものだった。

ユリアと前後して、マリーナと出会った。彼女はユリアとは違い、カウチサーフィンで知り合ってからフェイスブックでかなり頻繁に会話をしていた。教育学部で勉強していて先生になりたいといっていた彼女とはそれなりに気が合い、ウクライナ人の中では珍しくフェイスブックのチャットは盛り上がっていたため、彼女と会うのを一番楽しみにしていた。

もう夜遅くなっていたためどこかに出かけることはできなかった。ウージュホロドは夜になると急に真っ暗になる。ジプシーが増えあまり治安もよくない。とりあえず僕は彼女と一緒にエグンパブに行き、僕はビールを飲んだ。彼女はカプチーノを頼んでいた。

パブを出て、ギリシャ教会を見に行った。僕は突然ウクライナ料理が食べたいと言い、彼女はウクライナ料理を出すレストランへ連れて行ってくれた。ここで僕はボルシチを頼んだ。ボルシチはロシア料理ではなくてウクライナ料理だと彼女は教えてくれた。僕はポーランドでも同じようなことを聞いたなと思いながらも、口に出さず笑っていた。

いずれにしてもボルシチは美味しかった。どこか懐かしい味さえした。寒い場所の寒い季節に温かいスープを飲むと心まで温かくなる。

僕はマリーナと、自分たちのプライベートのことまで話し込んだ。彼女は英語の先生を目指しているためか英語はある程度できた。5時にシナゴーグの前で出会い、いつの間にか9時ごろになっていた。教育関係者との話はいつも盛り上がる。また、彼女は美人だった。ウクライナ・ロシア風のびっくりするような白人系美人だった。

僕はもっともっと彼女と話していたかったが、当たり前のように時間はあっというまに過ぎていった。数日後にはハンガリーに行かなければならない。旅をしながら外国人と知り合うといつも別れがつらい。

真っ暗な道路の中で僕は彼女とハグをして別れた。

ウクライナではカウチサーフィンで4人と知り合った。ウクライナというまったく知らない土地で、そして多くの日本人がこれからもまったく知らないであろう土地で、僕は現地人と話しこんだ。

旅にインターネットを混ぜることでこんなにも出会いは豊かになる。この素敵なツールをこれからも使っていこうと決めた。

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