バックパッカーのパリ旅行記





~花の都~

アントワープからバスで5時間ほど、僕は再びフランスに入国した。フランスの首都パリ。別名花の都といわれるほどの華やかな都市。僕はずっとパリに来たかった。

僕はヴェルサイユの薔薇を読み、フランス革命に興味を持った。またヨーロッパ史においてはフランスを中心に展開されてきたといっていいほどフランスは歴史 的にも重要な場所だった。僕は大学生のころから、7,8年ほどヨーロッパ史の本を読んだり、ネットで調べたりしてきた。いつの間にかラ・マルセイエーズは カタカナ読みで歌えるほどになっていた。

僕はニースで全く同じことを思った。ニースでの素晴らしい出会いの後、次はパリだと思っていた矢先、僕は治験の関係でロンドンに飛ばなければならなかった。

あれから月日は流れ、秋の終わりから冬の終わりへと季節は変わっていた。

パリのバスターミナルから地下鉄で宿へ行き、宿に荷物をおいて外に出た。

天気がいい。冬が終わりと春の訪れを告げているようだった。僕はアルジェリア大使館の近くの公園をぽかぽかとした陽気の中、歩いていた。

アルジェリア大使館でビザの申請をしようとしたが、ここではないと断られ新しい住所を渡された。ビザは今日はもう終わったと言わた。僕の心の中にアルジェリアはほとんど残されていなかった。

僕はパリを堪能した。バスで昼ごろについて、宿に行き、アルジェリア大使館に向かい、気がついたら午後3時ごろになっていた。僕はパリの街を歩いた。大使館のある辺りからうろうろと地図もなくあてもなく歩いていた。空が青い。イギリスの灰色の空、ドイツの白い空、ロンドンから徐々に空は灰色から白に、そして青に変わってきている気がした。冬は確実に終わろうとしている。

イギリス、ドイツ、旧ソヴィエトは暗さも一つの現実として受け止められる。ある意味この3つの国は冬に来るのも暗い趣を感じられていい。だが、フランスやイタリアやスペインなどのラテンの国はやはり晴れた青い空が似合う。僕は完璧に思い通りにルーティングができたのかもしれないと思いうれしくなった。

だが、段々とそんなことすらどうでもよくなった。今、青い空の中、パリの街を歩いている。それだけでよかった。

パリ

気がついたら大きなお城のような建物にたどり着いた。ルーブルと書いてある。おそらくルーブル美術館のことだろうと思い中の広場に行った。ここでパソコンの中にある地球の歩き方を開き、ここから凱旋門までの道があのシャンゼリゼ大通だと知った。僕はシャンゼリゼ大通を一歩一歩歩き凱旋門に向かった。

凱旋門を見て僕はパリに来たことを実感した。装飾画が素晴らしい。

パリの凱旋門

凱旋門

・・・次の日、僕は仕方なく渡された住所へ向かった。徐々に、そして完璧に、僕はもうアルジェリアに行くこと自体が嫌になっていた。ビザ代も100ユーロを超え、日数も7日くらいかかるとネットに書いてあった。友達がどうしても来てほしいというのを断れない自分の意志のよわさにより、イライラしながらもファックスのやりとりをしたり、大使館での申請方法を教えてもらったりしていた。

ビザの申請場所にありえないほどの人が並んでいる。申請フォームもすべてフランス語で何を書いていいかわからない。どんどんとやる気が削がれた。フランス語を話すイスラム教徒に囲まれながら僕は英語が通じる人に申請フォームのかき方を教えてもらい、1時間ほど並んだ。アルジェリアビザの申請という中々できない貴重な経験をしていると敢えてポジティブに考えた。

「あなたはフランス在住者ですか?」と担当とビザ担当に聞かれ僕が「ノー」と答えると「パリではフランス在住者のみビザを発給しています。日本のアルジェリア大使館で取ってください」と言われた。インビテーションカードを持っていると主張しても「無理です」と言われるだけだった。30秒ほどのやりとりだった。

あれだけファックスのやりとりでいざこざして、なおかつ大使館を探しビザの場所は違うといわれ次の日まで待ち、一時間列に並ばされ、30秒で「無理」の一言で終わらされた。だが、僕は一切苛立たなかった。開放感にも似た気持ちに襲われた。

僕はそれからエッフェル塔でラ・マルセイエーズを聞き、セーヌ川のほとりを歩き、コンコルド広場でマリーアントワネットが処刑されたことを空想し、ノートルダム寺院を見つめ、、、、とにかくパリを堪能した。できる限り地球の歩き方に書いてある場所に行き、そして個人的に興味のあるフランス革命とナポレオンにゆかりのある場所で空想をした。

エッフェル塔

ルーブル美術館

ノートルダム大聖堂

パリの教会

パリという、フランス史だけでなくヨーロッパ史において重要な、この場所に、ようやく来れた。歴史的にも、文化的にも、芸術的にも人はパリに集まり、人はパリにあこがれる。

花の都と呼ばれる所以がわかった気がした。

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