メキシコ旅行記/メキシコシティにて高山病。



〜標高2240メートル〜

「標高2240メートルのメキシコシティでは、邦人の多くが軽症の高山病に悩まされています。高地適応については年齢因子よりも個人差がありますので元気な若者でも症状が出ます。頭痛、吐き気、腹部膨満、動悸、息切れ、倦怠感、不眠等の症状が見られ、、、、、」

・・・外務省のHPに書いてあった。

息切れ・倦怠感・頭痛。間違いない、高山病の症状だ。日本にいる時から風邪を引いていて、咳が止まらない。そして時差ボケ、、、さらに高山病のトリプルプレーである。

思えば、昔インドのダラムシャラーでも軽い高山病になった。あそこも標高2000メートルくらいで誰も高山病になっていなかったが自分だけ軽い高山病になって寝込んだのを思い出した。

・・着いた時はテンションでのりきっていたが、ある日、体が動かなくなった。明らかに変な時間に強烈な眠気が襲ってくる。普通に観光していると意識が朦朧としていく。咳が止まらない。入国早々からこの状態である。

もはや観光できる状態ではない。移動した宿はドミトリーであるが、部屋に窓がない。朝も夜も誰かしら寝ているため、電気をつけることは出来ない、常に真っ暗である。昼も夜も分からない、、、病院かここは?

とりあえず寝る。

日本から持っていった薬が全然効かない。咳がまったく止まらないし動けない。だが、どうしようもない。旅は必ず続行する。そのためには今、休むしかない。

ペンションアミーゴという日本人宿に移動することも考えた。日本人宿なら同じ日本人が沢山いる。誰かしらが別の薬を持っていてそれをもらったり、病院に連れて行ったりしてくれるということを今までの経験から知っていた。
でも、行きたくなかった。日本人バックパッカーが嫌いなわけでも、日本語が嫌いなわけでもない。ただ、入国して数日で、海外に来たということをまだ実感していないうちから日本人同士で日本語を話すのはどうしても避けたかった。

そして、このまま病院にいくことも考えた。保険も入っている。保険会社の指定した病院に行けばキャッシュレスで治療できる。でも、病院も行きたくなかった。ここで病院に行ってしまえば自分が病気であることを認めてしまう。明らかに体調不良であるが、自分が病気であることを認めたくなかった。入国早々ならなおさらだ。

不思議と日本に帰りたいとは思わなかった。というよりも、日本に帰るという選択肢・概念がなかった。あきらかにやばい状況だがいつか治るだろうと楽観的に見ていた。むしろ入国早々にこんなになっているのが楽しいとすら思った。そしてこれを楽しいと思っている自分は頭がおかしいと思った。

とりあえず午前中はひたすら寝た。そして日本の薬が効かないことを悟り、現地の薬を買った。カタコトのスペイン語で咳と熱に効く薬をくれといい、とりあえず店の店員らしきおじさんが薬をくれいつ飲んだらいいかということを説明してくれた。

午後になって薬を飲んで寝ようと思ったがこのまま寝続けると夜眠れなくなりそうで怖かったので宿の外に出ることにした。体がだるくて死にそうだったが、とりあえずカテドラルまで行き、中で胡坐をかいてひたすら中のキリストらしき絵と彫刻を見ていた。周りからは変な人に見えていたかもしれない。

気づいたら夜になり、屋台のタコスを食べ、宿に帰り意識が朦朧としたままベッドに横たわった。

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