中南米・キューバ旅行記/クバーナ航空の遅延



〜クバーナ航空の遅延〜

キューバに向かうため、空港に向かった。セントロのバスターミナルから空港行きのバスは頻繁に出ているようだった。

空港行きのバスを待っていると、見知らぬアジア人に話しかけられた。そのまましばらく話をしていると、彼もキューバに行くということが分かり、すぐにうちとけた。

彼は韓国人でフンキュウという名前だった。珍しい名前だ。あだ名かもしれない。アメリカからメキシコに入りキューバに1週間だけ遊びにいくということだった。お互いがどういう旅をしているかということを話しているうちにバスはホテルゾーンを超え、空港にたどり着いた。

空港には多くのツアーできているようなモンゴロイドの顔の人が沢山いた。どうやらキューバに行く韓国人のツアー客がいるようだった。韓国人がキューバにツアーに来るということが不思議だった。キューバはそんなに開けた国なのだろうか?

韓国人ツアー客に混じってフンキュー君と一緒にクバーナ航空のカウンターでチェックインをした。空港にたどりつくまで、キューバ入国のツーリストカードが手に入るかが不安だったが250ペソであっさりと購入できた。が、メキシコの空港使用税も250ペソ払い、あわせると500ペソ(約3000円)という結構な金額になっていた。食費や宿代が安くても移動費や交通費、ビザ代でお金がかかってしまう。こればかりはどうしようもない。

チェックインも終わり、チケットをもらおうとすると空港のスタッフが何か言っている。スペイン語で早口で話しているのでほとんど聞き取れなかったが、どうやら飛行機が遅延しているということのようだった。カタコトのスペイン語で話を聞いていくとどうやら離陸時間は夜中の12時と言うことだった。時計を見るとまだ午後2時にもなっていない。

文句を言ったところで飛行機が早く飛ぶわけでもないのでとりあえず彼と二人で床に座って話をしていた。すると、カーサ吉田で一緒だった韓国人のリーさんが現れ3人で一緒に話をしていた。リーさんは高齢のため、日本語と韓国語が話せた。話の流れで、なぜ日本語が話せるのか?と聞こうとしたが、瞬時に聞いてはいけないと思い辞めた。73歳のリーさんがなぜ日本語を話せるのかを僕は高校生のときに教科書から学んでいた。僕とリーさんは日本語で、彼とリーさんは韓国語で、3人で話すときは英語で、時々スペイン語も混じる。言語が重なると頭の中が混乱する。

数十分話していると、航空会社のスタッフらしき人物が現れた。飛行機が到着する夜12時までの間、ホテルを用意しているというようなことを言っている。バスに乗りホテルに向かう。韓国人のツアー客と同じフライトらしく、バスの中はほとんど韓国人しかいなかった。バスの中に日本で聞きなれた韓国語が響き渡る。リーさんとフンキュー君と話しているうちにすぐにホテルに到着した。

ホテルにはプールがあり、レストランでの食事も無料だった。パンとスープとメインディッシュがつき、この旅中に食べたことがないような豪華さだった。一人ひとりに部屋も用意される。たった2万円ちょっとのチケットでこんないい待遇を受けていいのだろうかと不思議に思いながらもこの幸運を満喫した。大きいベッドで寝て、プールサイドでのんびりとし、温かくしっかりとでるお湯でシャワーを浴びた。

ツアー客の中には不満がありそうな人もいた。ツアーで来ている人は時間が限られている。こういった中で物事がスムーズに進まないのは嫌なことなのかもしれない。バックパッカーで時間が決められていない僕にとってはこういうスムーズにいかないことこそ醍醐味である。何か問題が起こったときにいかに冷静に対処し、なおかつ楽しめるか、いかにその問題を笑いに変えられるかが人生を楽しく過ごすすべであることを僕は今までの旅を通じて確信していた。

・・そんなことを考えているうちに時間は過ぎた。バスに乗り込み再度空港に向かう。

さらに飛行機は遅延し、夜中の12時半ごろにクバーナ航空の飛行機はカンクンを飛び立った。飛び立ったと思ったらすぐに着陸態勢に入った。飛行機に乗っている時間はわずか50分。キューバの首都・ハバナとカンクンは至近距離にあるのだと地球の歩き方を見ながら納得し、なおかつ実感していた。ただ、キューバとメキシコには時差があり、1時間進む。 到着して、預けていたバックパックを取ったときにはすでに夜中の3時を回っていた。

キューバ。チェ・ゲバラとフィデルカストロの作った社会主義国。日本にいる時からフィデルやゲバラのドキュメンタリーをみたり、自分なりに自給自足や農業についての本を読んだり、キューバの音楽を聴いたり、とこの国には憧れがあった。インドから帰ってきてから日本に疲れたときに、自分にとっての理想の国なのかもしれないとすら思ったこともあった。

イミグレで顔写真を取られたが、それ以外は特に聞かれることもなく、帰りの航空券の提示もなかった。かなり緩い。ツーリストカードに入国のスタンプが押され、期待感に胸を躍らせながら今回の旅の第3カ国目、キューバに入国した。

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