イグアスの滝



〜イグアスの滝〜

久岡さんに見送ってもらい、僕はカラガタウからシウダーデルエステを目指した。シウダーデルエステについたころには夕方になっていた。

結局、このタイミングでブラジルへ行くのは辞めた。資金とタイミングと自分の気持ちを考えると、アルゼンチンに向かうという結論になった。ただ、ブラジルで唯一イグアスの滝があるフォスドイグアスという街だけはビザなしで入ることが出来る。

フォスドイグアスで宿を取りたかったが、地球の歩き方にフォスドイグアスには日帰りしか出来ないと書かれていたのでアルゼンチン側のプエルトイグアスに向かうバスを探さなければならなかった。

段々と寒くなってきた。アスンシオンにいた頃は日本の夏のように暑かったのに、1週間で冬のような気候に変わった。気温の変化に弱い僕はまた咳が出て体調が崩れているのを感じた。とりあえず温かい飲み物を買い、どこかで買った風邪薬を飲んで体調不良を凌いだ。自分の体の弱さに苛立ちを感じたが、どうにも出来なかった。



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プエルトイグアス行きのバスに乗りブラジルを経由してアルゼンチンに向かう。イグアスの滝があるこの地域はブラジル、アルゼンチン、パラグアイ3国の国境地点であり、パラグアイ側のシウダーデルエステからアルゼンチンのプエルトイグアスまでそんなに時間はかからなかった。

着いたときには夜8時を周っていた。例によってまず宿にチェックインしなければならない。僕は以前にイグアスの宿の情報を聞いていたので宿を自分で探す必要はなかった。その情報に書いてあったメモを見ながら宿にたどり着いた。宿はユースホステルのように欧米人がたむろしていて、主人は気さくないい人だった。

宿は当然のようにドミトリーだった。そしてドミトリーなのにこれまで行ったラテンアメリカのどの国よりも宿代は高く、日本円で1000円位した。この体調の悪さでドミトリーは嫌だったが、貧乏旅行をしている僕にとって1000円を超える宿代は都市伝説でしかなかった。

そのまま朝まで眠り、多少体調が悪かったがバスに乗ってイグアス国立公園に向かった。イグアスの滝にいけることでなんとかテンションを保った。イグアスの滝はアルゼンチン・ブラジル両国の国立公園内にある。

バスターミナルから30分ほどで国立公園に着いた。入り口には世界中の観光客が沢山いたことで、そしてチケット代が2500円くらいしたことで、南米屈指の観光地であることを分からせてくれた。

国立公園の中は広く電車が走っていたが、体調が悪いにもかかわらずなんとなく運動したかったので歩きながら滝まで向かった。野生の小さいアナグマが走る植物園のような道を歩いていくと、ゴォゴォと滝の音が段々と大きくなるのが分かった。僕はテンションが上がり、早足で滝が見える所に行った。

プエルトイグアスでは上側と下側から滝を眺めることが出来る。僕は上側と下側両方に行って滝を眺めて写真を取った。プエルトイグアスは意外と広く、下側と上側を見終わったときには3時間くらい経過していた。食べ物の値段が高すぎて買えず、6ペソの紅茶しか買えなかったことで、体調はさらに悪くなった。

でもイグアスの滝はすごかった。滝自体もすごい迫力で、滝にかかる虹も綺麗だった。

イグアスの滝

イグアスの滝

そしてイグアスの滝のメインは、世界一の滝つぼといわれる悪魔の喉笛である。地図を見るとどうやらここだけは歩いて行けないらしく、園内の電車で近くまで行ってそこからさらに橋を歩いた。段々と音が大きくなる。

悪魔の喉笛はすごかった。ウユニに次いで南米の自然のすごさを知った。すごい。水しぶきがすごすぎて下が見えない。

イグアスの滝

イグアスの滝



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街に戻り、ターミナルでブエノスアイレス行きのバスチケットの値段を調べた。チケットカウンターで値段を尋ねると、433ペソといわれた。1アルゼンチンペソを20円で計算すると7794円である。バス代が7794円。メキシコ並みに高い。しかもこれは割引料金らしい。確かに他の会社のカウンターで聞くと大体8500円以上する。そしてメキシコは移動費だけ高いが他は安く、普通のレストランで一食あたり大体200円から300円くらいだが、アルゼンチンは一食あたり600円から700円位する。コスタリカより高い。あれだけ食事と宿代が高くて嫌になったコスタリカも何故か移動費だけは安い。

メキシコ並みのバス代、コスタリカ並みの食事代、宿はドミで1000円・・・・

アルゼンチンはもはや貧乏旅行が出来る物価の国ではなくなっていた。ヨーロッパと同じレベルの物価の高さである。

物価が高い国を旅する場合、早々に抜けるか、本気で切り詰めた生活をするか、現地人にお世話になるか、この3つ以外に生き延びるすべがない。

僕は即刻ブラジル側のイグアスの滝に行くことをやめ、チケットを取り、早くマルデルプラタに向かうことに決めた。マルデルプラタには友達がいる。ここに泊めてもらい、食事をシェアできれば、ギリギリなんとか生活できる。

僕はとりあえずスーパーマーケットに行って食料を調達した。色々と考えたて、ピーナッツクリームと大量の食パンを買うことにした。これで大体400円くらいだった。スーパーマーケットだけは日本と同じくらいに感じた。

パンにピーナッツクリームを塗って食べた。意外にもパンは大量にあり、4,5食くらいはパンだけでいける気がした。が、パンだけではすぐにおなかが減って嫌になるということを2時間後に知った。

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